1 遺言書があればすべて解決するとは限らない
相続の相談を受けていると、
「公正証書遺言があるので相続手続は簡単ですよね。」
と言われることがあります。
たしかに、遺言書があると相続手続がスムーズになることは少なくありません。
しかし、遺言書があっても問題が発生することがあります。
その代表例が、
遺言書に書かれていない財産が見つかった場合
です。
2 どのような財産が見つかるのか
実際には、
・古い銀行口座
・ゆうちょ銀行の口座
・証券口座
・株式
・投資信託
・不動産
・未収金
などが後から見つかることがあります。
被相続人自身も忘れていた口座が発見されることは珍しくありません。
3 遺言書に記載がなければどうなるのか
例えば、
「長男に自宅不動産を相続させる。」
「預貯金は長女に相続させる。」
という遺言があったとします。
ところが、その後になって遺言書に記載のない銀行口座が見つかった場合、その口座の帰属が問題になります。
遺言書に、
「その他一切の財産を長女に相続させる。」
といった記載があれば、その条項によって解決できることがあります。
しかし、そのような記載がない場合には、その財産について相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
4 金額が少なくても協議が必要なことがある
「残高が10万円しかない。」
「20万円程度だから問題ないだろう。」
と思われる方もいます。
しかし、相続手続を行う金融機関は、相続人全員の同意を求めることが少なくありません。
そのため、金額が少なくても、相続人全員の協力が必要になることがあります。
5 相続人同士が不仲だと手続が止まることも
遺言書があれば安心と思われがちですが、相続人同士の関係が悪い場合には、わずかな財産でも手続が進まなくなることがあります。
特に、
・相続人と連絡が取れない
・相続人が協議に応じない
・遺留分で争っている
という場合には、調停などの手続が必要になることもあります。
6 遺言書を作成する際の注意点
このようなトラブルを避けるためには、
「その他一切の財産」
についても帰属先を定めておくことが重要です。
また、遺言書作成時には、財産調査を十分に行い、できるだけ漏れがないようにすることも大切です。
7 まとめ
遺言書があっても、記載されていない財産が見つかることがあります。
その場合、遺言書の内容によっては新たな遺産分割協議が必要になることがあります。
特に相続人同士の関係が良くない場合には、少額の財産でも紛争の原因になることがあります。
遺言書があるから安心と考えるのではなく、財産に漏れがないか確認することが大切です。

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